第15期 第9回

平成31年度 第15期

8月21日 「夏休み親と子の能楽教室」 鑑賞
     講師 柏山 聡子 先生

天候不順の折から危ぶんでいた天気も何とかもってくれて、国立能楽堂にて「鞍馬天狗」を鑑賞致しました。鑑賞に先立ち、事前に稽古していた謡、「沙那王が出立ちには」の部分を舞台上で披露致しました。また、今回は牛若丸と一緒に花見に行く稚児の役を、文化教室の子ども達の中から数人に勤めてもらいました。

《季節の便り》

能のシテは扇を手にしていますが、鞍馬天狗は鷹の羽の羽団扇を手に登場します。天狗は空を飛べるとされているので鳥の羽の団扇は、大空を翔る象徴でしょうか。また団扇といえば、能では中国が舞台になっている曲は、シテは扇ではなく唐団扇を持っています。 夏に重宝する団扇や扇ですが、「秋の扇」といえば、古くから恋の終わりを意味しています。「秋」が「飽き」に通ずることから。一方、中国でも同じ例えがあり、こちらは音とは関係なく秋風が立つとともに顧みられない扇になぞらえて「秋扇」といったそうです。漢の成帝の寵愛を受けた妃の詩が起こりだそうなので、遥か紀元前からある表現に日本語の特徴が上手くのったのですね。