第15期 第18回

平成31年度 第15期

2月8日 文様を描く
     講師 樹下 龍児 先生

今回の線描図案は、江戸時代の能装束「桧垣に梅折枝散し文様繍入り摺箔」を参考に書き起こしました。梅の折枝と能装束には珍しく愛らしい梅小花の散し文様に色鉛筆で彩色し、そのうち二、三輪の梅は型紙を画用紙に置いて刷毛で金泥を刷り込みました。本物の金箔から作る金色は実に美しい色合いでした。
床の間の花は椿です。

《季節の便り》

二月は寒い日が続いても陽ざしはだんだんと明るさを増してゆき、梅はもうあちらこちらで咲いています。花は桜木と言って今では花即桜のイメージが定着していますが、奈良時代「万葉集」が編まれた頃は、梅を詠んだ歌が桜の三倍、およそ百二十首も採られています。「梅が枝に鳴きて移ろふうぐひすの羽しろたへに沫雪ぞ降る」(万葉集1840)このような梅の歌を詠むことが文化人としての教養のあかしでした。梅の文様は平安時代に初めて表されてから、長い年月のうちに梅鉢、向こう梅、利休梅、光琳梅など様々に洗練された形が出来上がりました。今回のシールは捻じ梅という名前の文様です。